よくあるご質問FAQ
よくお問い合せいただいているご質問に関して、ご返答いたします。
フォーミュラリ運用に関して
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急性期でも構築されたフォーミュラリを利用できますか?
WG構築の段階で、網羅的に文献検索をして、取りまとめており、領域によっては急性期病院でも導入されております。構築に利用した試験の患者背景と貴院の患者背景を見比べて、許容できるとご判断できた場合は導入可能と考えております。
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医師に対しての説明や提案など、どのように運用していますか?
医師に対する説明は、病院の形態によってさまざまな対応が必要と考えています。エビデンス集の内容をおおまかに把握したうえで要約シートを用いた説明としたり、口頭だけでの説明としたり、説明用のスライドを別に作成したりして、説明しております。様々な事例に関しては月刊誌「薬局」(南山堂)2020年8月 Vol.71 No.9~をご参照ください。
http://www.nanzando.com/journals/yakkyoku/backnumber/2020/ -
院内採用薬はフォーミュラリの結果から決めていますか?
フォーミュラリを基に院内の医師と話し合い最終決定しています。
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第2選択は決めていますか?
領域によっては、第1選択薬の忍容性がない場合の第2選択を定めているものや、同一領域内であっても使い方毎に第1選択薬を定めているものもございます。
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フォーミュラリ作成後、実際にそれに準じた薬剤の処方率は上がりましたか?
新座病院でのフォーミュラリ薬剤処方率は80-90%程度となっています。導入後2~3か月ごろに薬剤の処方率が上昇してくることが多いです。回復期リハビリテーション病院でも同様の傾向がみられています。
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コクラン等での論文検索のコツはありますか?
検索単語は主に、疾患名+薬剤+研究デザインで組むと網羅的に入手することができます。初回の検索の段階で、検索単語の条件を絞りすぎると、本来評価すべき論文が漏れてしまうことがありますので、極力広めに設定して検索するよう心掛けています。詳細は構築手順書をご参照ください。
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いち病院から始まったフォーミュラリをTMGとしてどのように展開していったのでしょうか?
2014年度新座病院から開始し、2017年度に近隣の東所沢病院と共同フォーミュラリの構築を開始しました。フォーミュラリを連携していくことが可能なことが示されたため、2019年度TMG薬剤部でフォーミュラリ検討WGを立ち上げ、職員の中から医薬品情報評価能力や専門領域のある薬剤師8名を主メンバーとして選定し、月1回の会議から開始していきました。
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今後は領域を拡大する事に注力していくのでしょうか?
急性期・慢性期に関わらず、必要な領域に関しては、フォーミュラリを少しずつ構築拡大していく予定です。フォーミュラリを定めることの難しい領域においても、医薬品評価を少しずつ行い、公開していきたいと考えています。
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どのようにフォーミュラリの導入を始めればよいのでしょうか?
フォーミュラリを作成、承認するだけでは、フォーミュラリを導入していくことはできません。現場の若い薬剤師にも理解してもらえるようにフォーミュラリの構築の流れと、有効性・安全性・優先順位付けに関して納得が得られるように説明していくことが大切です。
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どのようにフォーミュラリを展開すればよいのでしょうか?
大切なことはすべての患者様に対して定めたフォーミュラリ通りの薬剤を提案することではなく、標準的な薬物治療をフォーミュラリで定め、薬剤師自身が目の前の患者様に対して適切であろう薬剤を提案していくことと考えています。標準化医療と個別化医療を両立しながら最適な薬物治療を患者様に届けられるよう心掛けています。
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コクランライブラリーで対象外になった薬剤や、期間はどのように取り扱っているのでしょうか?
すでにコクランデータベースシステマティックレビュー(CDSR)で策定された領域に新しい薬剤が加わった際に新たな評価を柔軟に加えていくために、CDSRの検索式を用いて、新たな医薬品の試験を抽出し、評価しています。現在は領域拡大と職員の教育に時間を割いており、今後の質の向上に向けて検討しています。
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地域フォーミュラリにつなげられると考えていますか?
病院フォーミュラリは患者様が地域に退院後、その処方薬剤が継続処方されている事例が見られています。そのため、少しずつ地域に対して標準的な医療を提供できると考えています。また、将来的にフォーミュラリに限らず、地域に根付く医薬品情報を提供していきたいと考えています。
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一覧表は全て採用したうえで、優先順位を定めているのでしょうか?
一覧表の中で、フォーミュラリの推奨薬や、忍容性がない場合の薬剤を採用しています。その中で、患者様によっては、フォーミュラリで推奨されていな薬剤の使用が必要な場合もありますので、その際は患者限定として臨時購入し、処方しています。
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半強制的なものなのでしょうか?医師はどのような反応をしているでしょうか?
事前に承諾を得てから開始しています。中小規模の病院であれば、医薬品の不良在庫削減の観点から、常時薬剤科内に置いておく薬品数に限りがあります。フォーミュラリで推奨される医薬品の在庫を確保しながら、フォーミュラリで定めた標準的な医療を外れる場合は、医師の判断で処方が可能であり、その際は臨時で医薬品を購入しています。
フォーミュラリ構築に関して
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同程度効果とはどのように評価、設定をしているのでしょうか?
評価領域の評価項目を確認し、その項目を用いた非劣性試験に記載されている非劣性マージンや、症例数設定の際に用いられる、効果値を基準に考えています。その基準値の範囲内である場合に、臨床的に同等と客観的に評価しています。
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フォーミュラリを作成する領域はどのように設定しているのでしょうか?
慢性期の領域だったり、治療薬の選択が多岐にわたる領域だったりを選択して、評価を開始しています。
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アウトカムはどのように設定をしているのでしょうか?
評価領域のCDSRを参考に評価項目を設定しています。詳しくは構築手順書をご参照ください。
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エビデンス集を作成した目的、どのような効果が得られたのでしょうか?
フォーミュラリの要約シートのみでは、医師や他の医療従事者に説明するための充分な内容とは残念ながら言えません。エビデンス集を確認し、網羅的に情報を把握したうえで、フォーミュラリを適応できるかどうかを薬剤師が判断し、導入をご検討ください。
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論文評価は医師も一緒に行ったのでしょうか?
多忙な医師に代わり、論文評価の際は薬剤師だけで行っています。構築は主に①フォーミュラリWGにてフォーミュラリ原案作成②各病院薬剤部が主導で、病院幹部や各医師へ説明③薬事委員会にて承認された場合、運用開始の順で行っています。②の段階で、各病院の医師が関わってきます。
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フォーミュラリ策定にあたって医師の関わりはどうされていますか。
各病院にて医師に策定内容を説明し、薬剤師と質疑応答し、問題がなければそのまま導入となります。しかし、指摘事項があった場合は病院で微修正や、WGへ事例が戻され指摘事項に沿って再度調整するという形になります。
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投与の手間や患者への負担等、現場の理解は得られていますか?
領域によっては週1回の投与、週3回の投与や毎日の投与といった負担が変わる場合があります。その場合は事前に看護師の業務負担に関して調査をしながら負担になるのか、他の業務と連動するために負担にならないのかを確認し、現場の負担になりすぎないかを確認しながら最終的にフォーミュラリの優先順位を定めています。
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医師は協力的でしょうか?
医師の認知度もまだ低いと思いますが、少なくとも非協力的ではありません。丁寧に事前に説明をした上で導入しています。
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構築にあたりCDSRを用いるのがスタンダードなのでしょうか?
客観的に評価するため一つの指標として、世界的に評価されているCDSRを土台にしながらフォーミュラリを作成しています。
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救急やレスパイト等の状況でもこのフォーミュラリに従うのでしょうか?
ケースバイケースになると思います。医師と相談して判断しますがこのフォーミュラリはあくまで強制ではなく使用の推奨という認識をもっていただければよいかと思います。
フォーミュラリ研修会に関して
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一般病院では論文閲覧・購読の環境がないのですが、どのように解決しましたか?
当グループのフォーミュラリを参照していきながら、まずは、論文購読の予算確保のために、経営上のメリットを示すことから始めてみたらいかがでしょうか。
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地域の薬局薬剤師等、外部に研修会を実施する予定はございますか?もし、実施するとしたらどのような形をお考えなのでしょうか?
病院や地域の薬剤師を対象に実施したいと考えています。座学の部分は動画配信の研修とし、構築の実学の部分は少人数のディスカッション形式としながら、身になる研修としていく予定です。将来的にはフォーミュラリの土台が同じになるので、フォーミュラリの地域連携の新しい形となることを期待しています。
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プリセプターの事前準備、論文等の選定、SGDの評価の打ち合わせはどの程度実施しているのでしょうか?
プリセプターはフォーミュラリを構築できる者が務めます。約1時間SGDの流れを打ち合わせています。SGDで使用する論文の事前評価や研修期間中の研修生の質疑対応のために1か月30~50時間程度費やしています。論文等の選定などから研修生に失敗や成功を繰り返しながら行ってもらい、研修終了後に独立して自身で構築できるような研修になるよう心掛けています。
その他
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Academic Detailingのどのような点を参考に、どのように活用していく予定でしょうか。
フォーミュラリ導入に関しては、医師等への説明能力が求められます。説明内容の統一化と説明能力向上の点においてAcademic Detailingを参考としています。導入資材として要約シートやエビデンス集を作成し、必要に応じて説明スライドを作成しています。その資材を理解した薬剤師が各病院で医師等へ説明できることで、導入が広がっていくと考えています。
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作成している領域の優先順位を教えてください。
優先順位のみのご返答はしていません。エビデンス集をよく見て、要約シートをよく理解し、患者様への適応可否を評価し、最適な薬剤を選択していただきたいと考えております。
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一緒に作る仲間もおらず、一人で作成しています。
今後フォーミュラリの研修会にて、一緒に構築する機会を作っていきたいと考えておりますので、よろしければご参加ください。将来的には、TMGと研修に参加された皆様で、フォーミュラリ案の構築・更新ができるとよいなと考えています。多くの薬剤師が医薬品・薬物治療評価のための基礎能力を身に着け、よりよい医療を患者様に提供できるよう共に頑張りましょう。