今回第40回東京都理学療法学会にて、澤田は「変形性股関節症を合併した大腿骨転子部骨折に対してTHAを施行した症例-膝関節痛に難渋して-」梅田は「転倒により右大腿骨頸部骨折を呈した症例−排泄動作自立を目指して−」吉川は「頸椎疾患による手術を回避出来た胸郭出口症候群の一例−フィジカルアセスメントを通して−」を発表させて頂きました。
以下発表者のコメントです。
大腿骨転子部骨折の術式はプレートやスクリュー式が一般的ですが、本症例は変形性股関節症を合併していたため、全人工股関節置換術とcable grip systemを施行しました。
また近年高齢化の進む中、変形性膝関節症による膝関節痛のある患者が増加しています。
本症例では運動療法・サポーター、テーピング、ヒアルロン酸注射・自己効力感の向上のアプローチが有効だったと考えます。
今回の症例のように高齢化に伴い重複障害を呈する患者が増加しているため、今後も幅広い分野の知識を蓄えていきたいと思います。
オンラインやハイブリッド形式の学術大会が増えているので、参加しやすさがあると思います。ぜひ発表を行ってはいかがでしょうか。
高齢者を介護する際に「苦労したこと」の上位に排泄動作があげられています。
また排泄動作の介助量が増加することによって、自宅復帰の阻害因子となることがあると報告があります。
高齢化の進む今日では自宅で何らかの介護を受けながら生活している方がたくさんいると思います。
入院により排泄動作に介助が必要になり、自宅復帰困難になる症例を経験しました。
そこで今回大腿骨頸部骨折を呈した患者様の排泄動作に着目し、理学療法介入を行った症例について発表させて頂きました。
術前から介入し、自宅環境に合わせた動作練習・筋力強化を行ったことにより入院前と同等の排泄動作が獲得することができ、自宅退院可能となりました。
運動機能だけではなく、生活環境に合わせた理学療法を提供することが大切だと感じました。
胸郭出口症候群は稀な疾患とされており、画像所見と症状から頚椎疾患と診断されることも少なくありません。
今回、他院で頚椎疾患と診断され、セカンドオピニオンで当院を受診した方を担当する機会を得ました。
評価を行うと胸郭出口症候群の所見がみられ、数回の介入で症状の改善がみられました。
患者様は24時間疼痛に悩み、手術適応と言われてしまったことから、今後どうしていけばいいのかと不安で苦痛な日々を送っていたそうです。
復職も果たすことができ、力になることが出来て本当に良かったです。
改めてフィジカルアセスメントの重要性を理解した場面でした。
今後も沢山の患者様の力になれるように努力していきたいです。
また学会発表・参加や論文執筆なども継続して行っていけるように頑張ります。みなさんも是非チャレンジして下さい!
文責:八王子山王病院 理学療法士 吉川和孝