難病と在宅ケア11月号に理学療法士の益森寛美が「パーキンソン病患者が海外渡航するために行った事前準備」という題目で投稿させて頂きました。
パーキンソン病(以下、PD)は運動症状、非運動症状共に様々な症状が生じる疾患です。そのため、海外渡航などの遠出は長時間の移動や慣れない環境下での生活となり控える患者も多いです。しかし、PDは薬とリハビリテーションで症状を軽減することが出来、必要であれば外出先でバリアフリーのサービスなどを利用することも可能なことから、決して不可能なことではないと考えました。今回は実際に海外出張に行きたいと希望を持つ患者様の事例とともに、PD海外患者が海外渡航する為に着目すべき点を3つ挙げました。
着目すべき点として①薬に関する準備、②リハビリで行う準備③緊急時を想定した準備を挙げさせて頂きました。①薬に関する準備としては渡航で生じる時差により内服の時間を調整する可能性があるということ、また渡航先に医薬品を持ち込む留意点は、渡航先によっては医師の診断書や処方箋の内容を示す書類が必要になることを挙げた。
②リハビリで行う準備はフライトによる長時間の座位姿勢によって生じる痛みの対策や渡航先の環境の違いに考慮した運動プログラムを組み立てること、事例患者に関してはあえて薬の効きが悪い時間帯に来院してもらいオンオフ症状の対策を行いました。
③緊急時を想定した準備では、ヘルプカードを用意、また渡航先の空港などで車椅子のレンタル、サポートスタッフの手配、タクシーなど移送手段の等も確認しました。
PDは進行性の疾患ではありますが、比較的進行は遅く、身体機能・QOLの維持をするためにも患者の希望を聞き、社会参加に繋げることが大切だと感じました。海外出張はリスクを伴う可能性もありますが、患者と話し合いながら時間をかけて対策を続けた事がリスク軽減に繋がったと感じています。改めて、信頼関係やコミュニケーションの大切さ、他方向から考えるリハビリプログラムの重要性を感じました。
狭山神経内科病院HP:http://www.sayama-neuro.jp/rehabilitation/
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文責:狭山神経内科病院 益森 寛美