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作業療法士とは

スポーツ分野で働く作業療法士とは?理学療法士との違いや資格をご紹介

目次

1.作業療法士がスポーツ分野の仕事内容・働く場所とは?
2.スポーツ分野での理学療法士との違いは?
3.スポーツ分野での資格について(作業療法士がスポーツ分野で活躍しやすいプラス資格)
4.スポーツ分野で働く作業療法士のやりがい
5.東京都障害者総合スポーツセンターへの見学を通して、活かせそうなこと(筆者談)
6.まとめ

1.作業療法士がスポーツ分野の仕事内容・働く場所とは?


作業療法士の中には、作業療法の一環としてではなく、スポーツ業界で本格的に活躍している人もいます。
スポーツ選手へのリハビリテーションや指導だけではなく、精神面のサポートや障がい者スポーツ、スポーツメーカーでの勤務など、作業療法士はスポーツ分野の多方面でスポーツに関わることができます。

1)障がい者スポーツ(指導員として働く)

作業療法士がスポーツ分野で働きたい場合、障がい者スポーツの指導員を目指すのも1つの方法です。
障がい者スポーツとは、身体障害や知的障害を抱えた人が参加するスポーツです。
水泳や卓球などの既存のスポーツを、障がいに合わせてルールを変更したり、装具の使用を許可したりすることで、障がいがあっても行えるような形にしたスポーツのことで、パラスポーツとも呼ばれています。具体的な競技としては、車いすバスケットボールや、ボッチャなどがあります。
近年では、障がい者の運動能力向上や健康維持、余暇などを目的としたスポーツ活動が各地で盛んに開催されており、専門的知識・技術を備えて指導員の募集している自治体も多く見られます。
理学療法士やその他の医療関係者と一緒に、大会の運営や、選手の身体的なケア・環境調整など、その人に合わせた細かな支援やサポートを行うことが、作業療法士の仕事です。
また、障がい者用に改良された用具を使用するための運動指導など、コーチ的ポジションに就くことも多いです。

2)スポーツトレーナー

スポーツトレーナーになるために必要な資格は定められていないことから、作業療法士でもスポーツトレーナーとして活躍することが可能。
スポーツトレーナーには次の種類があります。
・医療的ケアに強い「アスレティックトレーナー」
・アスリートの体調管理やケガ・故障予防の指導をおこなう「コンディショニングトレーナー」
・ジムやフィットネスクラブで運動プログラムを立案・提供する「フィットネストレーナー」
・アスリートの筋機能を総合的に高めてパフォーマンス向上を図る「ストレングストレーナー」
病院などの医療機関、介護施設、ジムなどに勤務し、メディカルトレーナーとして活躍するケースや、独立してスポーツトレーナーとして活躍するケースがあります。
メディカルトレーナーとは、一般的なリハビリを終了したあとに、無理なくスポーツができる状態への復帰や運動機能の回復を、身体・精神の両面からサポートする立場です。

3)精神科作業療法でスポーツを取り入れる

精神作業療法で行う作業は、「お風呂に入る」「食事を食べる」など日常生活のなかで必要な行動から、「カラオケをする」「編み物をする」などの余暇活動、「ボーリング」や「体操」といったスポーツ活動など内容は多岐にわたります。精神に障害を抱えている人にとって、運動は身体機能の維持・向上につながるだけでなく、健康な精神へと導くのに役立ちます。
風船バレーや座位サッカーなどなるべくみんなで簡単に、楽しく行えるものがメインとなりますが、時には本格的なスポーツを通して、対戦し合うチーム内での役割や周囲を見渡して自身の行動を瞬間的に行動する訓練にも繋がっていきます。

4) スポーツ用品の企画や販売に関わる

作業療法士がスポーツメーカーに勤務し、スポーツ用品の開発や販売、企画などに携わることもできます。身体のメカニズムや動作の知識などの専門的な医学知識を生かすことができます。

5)スポーツリハビリを得意とする医療機関に就職する

スポーツ外傷のリハビリに力を入れている病院やクリニックなどの医療機関があります。
外科的治療が必要な患者さんのリハビリをおこなったり、画像診断をもとに多職種協働で治療を展開したりできるのが特長です。
作業療法士として、チームで連携し、専門的なスポーツリハビリを展開していきたいと考える方には、医療機関への就職がおすすめです。

2.スポーツ分野での理学療法士との違いは?

1)精神面のサポ-トで強みを生かせる

アスリートたちは、常に結果を求められる厳しい世界で戦っているため、スポーツで最大限のパフォーマンスを発揮するには、アスリート自身の精神面が安定していることが大切です。
怪我などで長期の入院やリハビリテーションが必要になると、その不安やもどかしさから、精神的に落ち込んでしまうことは少なくありません。そんな時、作業療法士が選手のそばに寄り添い、適切なメンタルケアを施すことが可能となります。プレッシャーのかかる場面を乗り越えるのにも、アスリートの気持ちを切り換えたり、意欲を高めたりといったサポートをすることで、精神面からもアスリートのパフォーマンス向上が図れるでしょう。

2)治療・トレーニングに「遊び」の要素を取り入れられる

スポーツのパフォーマンスを向上させるためには、実際の競技や、運動機能を向上させるトレーニングを行うのが効果的ですが、ときには遊びの要素も大切です。
作業療法士は、物品や環境を工夫して、楽しみながら治療・トレーニングをおこなうのが得意な職種でもあります。トレーニングにうまく遊びを取り入れることで、アスリートも楽しみながらスポーツに向き合うことが可能です。

3)作業療法士ならではのケアやトレーニングを

スポーツ分野で働く作業療法士は、有資格者数全体からみれば少ない傾向にあります。
作業療法士は、心身の両側面からのアプローチをすることが可能です。また、ケアやトレーニングに遊びの要素を取り入れたりするなど、作業療法士だからこその関わり方ができます。
職種の専門性をしっかりと活かし、スポーツ分野でも十分活躍できる職業です。

3.スポーツ分野での資格について(作業療法士がスポーツ分野で活躍しやすいプラス資格)

障がい者スポーツ指導員

障がい者スポーツコーチ

障がい者スポーツトレーナー

日本スポーツリハビリテーション学会認定トレーナー

CSCS

4.スポーツ分野で働く作業療法士のやりがい

スポーツ分野で働く作業療法士には、他の分野では経験できないやりがいがいくつかあります。

・アスリートと喜びを共感できる

ケガや故障に苦しみ、厳しいリハビリやトレーニングをこなす姿をそばで関わり見てきたからこそ、アスリートが成績を残し、チームに貢献することが、作業療法士にとっても自分のことのように嬉しく感じられるでしょう。
ケガや故障から復帰したアスリートが、再び表舞台で活躍する姿を見ることは、スポーツ分野で働く作業療法士の醍醐味です。

・運動機能の評価・訓練に集中できる

一般的なリハビリにおいて、作業療法士は、活動・社会参加面に重点を置いたアプローチを求められます。
日常生活動作である食事・排泄から家事・仕事に至るまで、対象者の方を幅広くサポートしていますが、その分、運動機能面のアプローチに時間をかけにくいケースも少なくありません。
スポーツ分野を専門とすれば、筋肉・関節・靱帯などの機能改善が中心となり、他の分野に比べて、運動機能の評価・訓練に特化したアプローチがしやすいというやりがいが生まれます。

5.スポーツセンターへの見学を通して、活かせそうなこと(筆者談)

私は、東京都障害者総合スポーツセンター東京都多摩障害者スポーツセンターへ見学に行ってまいりました。
私の在籍している小平中央リハビリテーション病院は、院内(回復期・維持期)と介護保険分野(訪問・通所)を展開している病院です。当院は、スポーツリハビリテーションを実施しているというわけではありません。また、対象となる方々が、「スポーツを始める」ということ自体、なかなか現実的ではないかな、とも思っていました。
しかし、スポーツセンターへの見学を体験し、いまの私にも関われることがあるな。と思えることがありました。
スポーツセンターでは、様々な障害のある方々が、楽しく、活き活きとスポーツに取り組んでいらっしゃいました。体験談を伺うこともでき、その方がスポーツを通して、社会交流の場が増え、身体機能の向上もみられたとおっしゃっていました。
そういった環境があることを恥ずかしながら把握することができていませんでした。
現在の職場では積極的にスポーツを実施していくことが難しくても、スポーツセンターの利用に繋げていくことで、対象者の自立した生活の獲得や、やってみたいこと、楽しいことを生活の中に取り込んでいけるようになり、その人らしく過ごしていけるようになるのではないか、と感じました。対象者の方々に対して、スポーツセンターという存在をお伝えし、その方の生活の場を広げていけるよう進めていくことも、いまの現場での作業療法士としての役割の1つであると考えます。

6.まとめ

スポーツ分野での活躍というと理学療法士のイメージが強いと思います。ですが、作業療法士でもその知見を活かしながら、スポーツ分野で活躍することは可能なのです。
特に、怪我や病気などで悩み、落ち込んでいる選手に対して寄り添ったケアができるのは、身体面に加えて精神面でのサポートも専門とする作業療法士ならではです。
スポーツ分野をめざす作業療法士は理学療法士やトレーナーの資格取得も視野に検討してみるさらに活躍の幅が広がるでしょう。作業療法士の資格を持っている場合、養成校で必要な知識を学び、最短2年間で理学療法士の資格が取得できます。近年ではスポーツ分野で活躍できる理学療法士の育成を目的としたカリキュラムを実施している学校もあります。
近年ではeスポーツの広がりもあり、そういった分野での作業療法士の活躍も増えてきています。
作業療法士としてスポーツ分野で働くことや取り組みは、無限大に広がっています。

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