訪問に従事する療法士の質の向上、危険徴候に対して十分な対応ができることを目的とし、これから訪問に従事するスタッフ、訪問に従事して間もないスタッフ、病院や施設で退院支援をするスタッフを対象とするオンライン形式による実務者研修会に、今回、シンポジストとして参加させて頂きました。
講演資料の内容としましては、「多職種連携やコロナ禍における感染対策について、事例を通しての実践報告」というご依頼を受け、私からは「経管栄養(胃瘻)から3食常食経口摂取に至った事例を通して」というテーマで講演させて頂きました。
多職種連携の部分では、サービス担当者会議にて、ご本人の食事に対する意欲・理解度と摂食機能に関するご家族でも可能な具体的対応を中心に話し合います。
①医療機関での嚥下に関する安全性評価の結果と、指示医の嚥下機能許可範囲の共有
②食事環境のリスク管理・実際の経口摂取状況の情報共有
③各介護サービス等らにおける役割分担について
結果としてご家族を中心とした、安全かつ効果的なご協力を経て、経口摂取自立へ。そして念願のバーベキューをご自宅の屋上で実施することができたという、活動から参加にまで至ったケース紹介です。多職種(ご家族含む)で連携することにより、ご利用者のニーズに応えることが出来る、という報告をさせて頂きました。
感染対策に関しましては、スタンダードプリコーションの実施に伴う個人用防護具(サージカルマスク、フェイスシールド、ガウン、エプロン、ビニール手袋等)を使用し、訪問先でも病院と同じように徹底した取組について。そして、医療従事者としての正しい情報収集の下、状況の変化に合わせた丁寧な説明と対応の積み重ねにより、ご利用者・ご家族からの信頼を得ることに繋がっていると報告させて頂きました。
最後に、まとめとして、「急性期・回復期・生活期に関わらず、患者様やご利用者様と真摯に向き合い、ニーズを確認し合いながら共にリハビリテーションを行っていくという姿勢が何より大切である」という私自身の想いを伝えさせて頂きました。
ご参加頂いた方からは「摂食嚥下リハにおける具体的な感染対策について」「ご利用者様やご家族からニーズを引き出す為に行っていること」等、より具体的なご質問を頂きました。各シンポジストが病院や事業所でのそれぞれの対策・対応の話をされ、とても参考になりました。同時に、私たちと同じように、在宅で個々のニーズ・生活環境に応じて日々試行錯誤し、地域医療を支えている沢山の方々がいることを感じ、勇気を頂きました。
今回参加させて頂いた「訪問リハビリテーション実務者研修会」全体を通して、TMGの運営方針でもある「地域包括ケアシステムのモデルになる」(コロナ禍において地域の期待に応えられているか)について、訪問事業所としてその一端を担っている事を強く感じました。グループでのシームレスな連携はもちろん、地域全体で協力し合いながら包括的なサービスを提供していく重要性を改めて感じました。
地域に信頼され、期待に応えられる訪問リハビリテーション事業所であり続ける為に、スタッフ間で協力し合い、創意工夫し、成長し続けていきたいと思います。
文責:訪問リハビリテーション匠 言語聴覚士 一木 友徳